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Les Françaises et une Japonaise

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フランセーズ達の中への突撃!5.

フランセーズ達の中へ突撃!1.フランセーズ達の中へ突撃!2.フランセーズ達の中へ突撃!3.
フランセーズ達の中へ突撃!4.からお読みいただくと状況が良くお分かりになると思います。



ところで本番では男性も女性もすべての演者がコードとして顔を白塗りにし、目尻と眉を歌舞伎の隈取のように黒または茶色で強調し口紅は赤、頬にピンクの紅を差した。また、役割ごとに異なる衣装を場面場面で身に着けるのだが、原則としてその下は黒いTシャツに黒いスパッツまたは細身のパンツ、黒い靴というようにみなで揃いを身に付けた。こういう風に、揃いの衣装を身に着けたり、揃いの「顔」を作っていく一つ一つの段階で、だんだんと個々に演者としての精神的な自覚と準備が整って来る。また、この化粧の効果として、普段の顔からは想像もできないような前衛的な「顔」が出来上がるのでさらに役に入りやすくなるというのがある。
 一つ私がドキドキしてしまったのは、1時間前に自分の仕事を終えて余裕で私たちがメイキャップされていく模様を眺めていたお針子のお婆さんが、突然、マルティニーク出身のフランセーズに
「下地の色のおかげであなたのお化粧が一番映えてるわねぇ~。」という感想を漏らしたことだ。マルティニークの彼女は、笑いながら
「Forcément(必然的にね~。)」と穏やかに返していたけれど、お針子の彼女に悪気があるのかないのか私には判断しかねた。確かに彼女の隣にアジアティックの私、そしてその隣に他のフランセーズ、フランセ達、彼らもみなそれぞれに肌の色が少しずつ異なり、陶器のような白からグラデーションで色々な肌の色の子達が一同に会して同じ白いドウランを塗ったことによってそのドウランの色の映え方に様々な違いが生じたことは彼女の一言によって私も認識したのだが、視覚的には明白な事実ではあった。また偶然にも比較し易いようにマルティニークの彼女のとなりに私、それから他のフランセーズ達といったように椅子に腰掛けてはいたけれど、私は彼女のこの一言にはかなり面食らってしまった。幸いドウランと隈取りの面をすでに身に付けていたので動揺が顔に出ることはなかったが・・・。しかし、そんなに本来の肌の色の会話に敏感になりそこを無難に避けたいと思う私の方がフランス社会の中ではどうかしているのかもしれない。肌や髪や目の色が個々で異なるのは事実だしそれに基づいて何か他の社会現象に言及した訳ではないのだから。
 もう一つポジティブな意味で私の目に焼きついて離れない場面はアソシエーションの主催者の夫婦が作り出した一コマだった。全ての化粧が終わり汗っかきの夫のドウランや紅が劇中に汗で溶けて剥げ落ちてしまわないように、妻が夫の顔にオシロイをはたく。オシロイを含ませた刷毛を持ち、妻が
「ちょっと目をつぶって、あなたは汗っかきだから。」と声を掛けると、夫が椅子に腰掛けたまま足を前方に50センチ程踏み出すようにして浅めに座り直し、背もたれに片方の肘と背中をもたせ掛け、まるで美容院で髪を洗ってもらう時のような仰向けの体勢を作る。夫が実に慣れた動作で顔の位置を妻が作業し易いようになるたけ彼女の手元に近い位置に持って来て目蓋を閉じると、妻は丁寧に彼の顔をオシロイで抑える。ちょうど私には両方の表情が見えたのだが、年齢を重ね皺が刻まれ、髪はグレーに近くなった彼らの素顔の上に乗った私たちと同じ「仮面」の奥から、日本語に訳せば「未公開の作業場」とでも訳せるだろう名前を冠した演劇サークルを基盤とした一つの同じ趣味を人並み外れて大事にしながら共に育んできた彼らの演劇人生の豊かさと、互いに対する信頼感がルノアールに代表される印象派の画家達が描きだすような穏やかなオレンジ色の光のような空気となって立ち昇っていた。その一角だけは刷毛が顔を擦る音まで聞こえてきそうな静けさの中で、周囲とは異なった時間の単位でゆっくりと、しかし確実に時を刻むかのような不思議な光景に、なんだか涙がこぼれてしまうような暖かさとしみじみとした感動を抱いた。
 本番の2~3週間前から嫌なことばかりが目について、この舞台を終えたら辞めてしまいたいとさえ思っていた演劇のアソシエーションだが、やはり演じること、それから皆で社会的にも金銭的にも何の利害関係もなく一つの作品を創り上げていくことは、何事にも変えがたい喜びをもたらすことが分かった。今は夏休みに入ってしまったので、毎週金曜日の夕方からの通常稽古もないのだが、もし9月の後半から再度始まる通常稽古の際の身体ほぐしのパントマイムで、「夫婦」という題をもらったとしたら、私は相手役を探して目蓋に焼き付いている彼ら夫婦の「絵」を再現してみたいと思っている。否、題は自分から提案することもできるのだから、これは私の中で9月の末に必ず実現したい目標だ。

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 今晩、夕食を食べながら彼にブログに何を書く準備をしているかを話す中で、前述のお針子のお婆さんの発言についてフランス社会でこれはどのように解釈されるのだろうかと問うてみた。様々な文化や出身を持つ人々が寄り集まって生活している現在のフランス社会の中では、やはりこの発言はタブーの類に属するのではないかというのが彼の意見だった。確かにフランスに来て最初に書いたレポートで不用意に「race 人種」と「nation民族」(二つの訳は便宜的にあてました。仏和辞典を参照すると他にも色々な訳が当てられていることが分かります。)という二つの単語を用いたのだが、添削されて返ってきたレポートにはこの二つの単語に波線が引かれており、
「raceとnationという言葉の使い方に気をつけなさい。これらの言葉の意味を良く考える必要があります。」というコメントが記されていた。この課題を再提出する前に調べて分かったことは、ユネスコは現在生物的な区分として「race(英語)」という言葉を用いることを認めていないということだった。
参照: Unesco,The race question in modern science, Paris, UNESCO,1956.
 これは、日常生活においても修論作成上も、フランス語、英語、日本語及びそれぞれの言語を用いる国における二つの単語のもたらす意味の差異をも含めて、ここ10ヶ月くらいの間にもう少し深く正確に考える必要がある私のテーマの一つだということを今日改めて認識した。

                              つづく

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フランス生活で日々 感じたことなどを地道に綴って いきたいと思います。 美しくて気まぐれで直情型のフランス女達と マイペースな1人のジャポネーズとの 壮絶バトルもあるかも・・・?

Celine

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